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 エッセイ「クジラに逢いたい」
 沖縄ホエールウォッチング特集

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座間味のクジラ(写真・文 伊藤麻由子)

座間味島をはじめとする慶良間海域のマップ

那覇泊港北岸から快適な高速船クイーンざまみに乗って約1時間。

そこはもうクジラパラダイス!1月から3月あたりまでホエールウオッチングのメッカとして座間味はここ数年、脚光を浴びている。今からおよそ10数年前、島の漁師たちから「クジラを見た!」という話が聞かれるようになって以来、座間味を訪れるクジラは年々その数を増やしてきている。かつては捕鯨地であったこの海域も今では安心していられると彼らはわかったのだろう、それが、再びたくさん集まってくる引き金になったと考えられている。

そんなクジラたちは、ここに繁殖のために訪れる。温暖で波も穏やかな海だからきっと居心地がいいのだろう。恋をして交尾して、次の冬にはその子供を産みにきて、そして育てる・・・。12月に入ると気の早いクジラはすでに姿を見せ、子クジラが北の海へ泳いでいくことのできるくらいの体力がついた春頃になると、再び座間味の海を去っていく。こんな大切な営みを繰り返す場所は、彼らにとっても特別な場所でしかできないはずだ。それだけ、ここの海がいいのだ。

ホエールウォッチング体験(文 伊藤麻由子)

ホエールウォッチングのイメージ

何を隠そう、実は私は座間味のクジラファンで観光客であった頃からこの季節になると東京から毎年通っていた。(現在は那覇在住)最初にクジラを見たのはもう、6〜7年ほど前になるだろうか。当時、WWFジャパンのクジラの調査のお手伝いをしていたハートランドの宮村幸文さんの船に乗せてもらい海に出た。2月の海はいくら沖縄といえども海上に出ると風は冷たく、体感温度はすこぶる低くなる。加えてクジラの近くにくるとクジラを脅かさないように船のエンジンを切るため、船体は波任せでゆらゆら揺れる。私はどうにも気分が悪くなってしまい船にしゃがみこんでぐったりしていた。と、その時である。私がぐったりしている船の脇からクジラが突如がばっ!と海から姿を現し、ざばっ!と飛び出してきた。呆気にとられて何が起こったのかわからないまま船にへばりついて見上げた私には、その姿が今でも脳裏に焼き付いている。「ビギナーズラック」というにはおこがましいほどゆゆしく思え、ウオッチングなんていったらバチがあたりそうに感じるほど神々しいものだった。これまで目にしたことがない大きさ、迫力、力強さ、躍動感。以来、座間味のクジラにはまってしまったのである。

たぶん、毎年ホエールウオッチングにやってくるリピーターは少なからずクジラから感動を分けてもらっているはずだ。だから、また来る。来たくなってしまう。クジラがくる時期になると居ても立ってもいられなくなるのだ。まだクジラに逢ったことのない人には座間味でのホエールウオッチングをおすすめしたい。その何とも言葉では言い表せない感動をその人なりに実感して欲しいと思うから。別に普段から特別センチメンタルな人でなくとも、なぜかクジラの姿に涙がでてきてしまった・・・という人が多い。特に女性。

これはハワイやアラスカでクジラを見た外国人も同じで、一体何がそうさせるのか不思議である。

ペンション高月の宮平聖秀さんに聞く(写真・文 伊藤麻由子)

ペンション高月の宮平聖秀さん
座間味島発沖縄ホエールウォッチング&宿泊パック

「叩かれて痛かったんですけどね、痣になったんですけどね、嬉しかったんですよ!」ナント、クジラに尾で叩かれた人が座間味にいた。ペンション高月のオーナー、宮平聖秀さんである。お話を伺ってみるとホエールウオッチング客も落ち着いた去年の3月のある日、スタッフだけでクジラを探しに海にでた時のこと。なんとはなしに船を止めて海に身を乗り出したその瞬間、「ようこちゃん」と勝手に名付けたクジラが突然姿を現し、宮平さんの背中にかけてビシッとペックスラップ(クジラの専門用語で、横向きになり長い胸ヒレを水面に打ちつける行動)したというのだ。しかしそれを「嬉しい」と喜ぶあたり、かなりクジラに心を奪われている証拠。「ようこちゃん」につけられた背中の痣はしばらく消えなかったそうだ。

「座間味にホエールウオッチングにくるなら一泊してください。通りすがりのウオッチング以上の感動がありますから」と宮平さんは話してくれた。朝、展望台に行って双眼鏡でクジラのブローを探す(ブローはクジラの潮吹き)。そして、クジラを発見したら船でそのポイントに行ってクジラをウオッチングする。この一連の流れがホエールウオッチングの楽しみ方だという。確かに双眼鏡で展望台の上からクジラの姿を探すのはワクワクする。どこにいるのかな、どれだけいるのかな。海に出て目の前で見るだけがウオッチングではないのだ。

そしてこっそり教えてくれたここだけの話。日帰りで座間味にくると帰りの船の時間を気にして港に戻らないといけないけれど、もし島に泊まりなら、時間を気にしないで日が暮れそうになるまでクジラを探してみることもできるというのだ!

ホエールウオッチングは自然界の中の営みを覗かせてもらうものだから、行けば必ず会えると言うものではない。だからこそ、少し時間をかけてこの季節ならではの座間味を味わいつつ、クジラに逢いたいと願ってみてはいかが?

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 座間味ちょこっと小話(写真・文 伊藤麻由子)

古座間味ビーチ

島のおすすめスポット(1)

広くて白いビーチに真っ青な海。運よくその古座間味ビーチをひとり占めできたとしたら、それは至福の時間になることだろう。座間味港から歩くと20分くらいかかるが、たどり着くまでの散歩も悪くない。冬ならではの贅沢気分を味わいに行ってみてはいかが?

座間味に何度か足を運んでいる人なら訪れたことがあるかもしれないが、冬の古座間味ビーチがまたいい。夏の観光客の賑わいが消え、ビーチにずらっと並ぶカラフルなパラソルもしまいこまれ、人影もほとんどない。(時折、ビーチエントリーするダイバーたちがやってくるが、しばらくすると海の中に消えてしまうので問題なし)

マリリンの像

島のおすすめスポット(2)

映画「マリリンに会いたい」はご存知だろうか?安田成美主演でその昔大ヒットした感動の犬の物語。阿嘉島に暮らすシロが座間味に暮らすマリリンが恋しくて、海を渡って泳いで会いに行く・・・

そんなシロも2000年に亡くなり、現在ではその銅像がつくられている。阿嘉島にシロの像、座間味にマリリンの像。二つの像は海を挟んで向き合った位置にあるのがなんとも胸キュン。そして、その座間味側のマリリン像が絶景のサンセットポイント!マリリンと一緒に沈みゆく真っ赤な太陽をながめるのもこの島ならではのひととき。

島の歴史

現在、島民の数661人(2003年11月現在)のこの島にはいつから人が住み始めたのだろうか?歴史をひも解いてみると、思いのほか古いことに驚かされる。

琉球史でいうところの第一期、1264年の英祖王の時代に久米島・伊平屋島と並んで首里に入貢したというからその前から島には住民がいたということになる。そして、1314年に三山が分立したその子孫が座間味にいたという証の旧家は今も残されている。(但し、保存されていた遺品の数々は戦争で焼失したそうだ。)

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